
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、"メッセージ"。原題は"Arrival"。
世界の12の場所に突如として謎の巨大浮遊物体がArrival(出現)する。アメリカでは軍が現場での指揮をしており、言語学者のルイーズ・バンクス、数学者のイアン・ドネリーを招集、浮遊物体内の生命体とのコミュニケーションをとるよう命じる・・・。
導入部分は女の子とお母さんのシーン。不治の病で女の子は亡くなる。そのお母さんがルイーズで・・・ってところから物語は始まる。
SFであり、スリラーっぽくもあり、静かで、映像的にも内容的にも暗くて、この物語はどこにArrival(到着)するのかなと思っていたら、意外にも愛と勇気の物語として終着した。
全くコミュニケーションがとれない状況から始まったのに、文字だと理解して解読し、さらにはこちらも同じ文字でコミュニケーションを図れるようになるなんて、言語学って閃きと気の遠くなるような作業の上に成立する学問なんだなーと感心した。
素人考えだとどこから手を付けていいんだか見当もつかないもの。無理なもんは無理!ってなってしまいそうだもの。
それを実に緻密に、一歩一歩確実に、そして時に大胆に、勇気を持って、というルイーズの姿勢には心底感心した。
未来があるから未来へ行けるというパラドックス。この辺は考えても考えても思考はぐるぐる回るばかり。
けれども。
ルイーズが選んだ未来。大きな愛のArrival(出生)。ゆえに敢えて飛び込む勇気。美しいなと思った。

ちなみに私の中ではタオルケットを頭からかぶってゆらゆらして、おもむろに片手だけ出してパッと開くというヘプタポッドごっこが流行中。ワイフには全然メッセージが伝わんないけど。
"
メッセージ" ★★★★