
北村薫著、"鷺と雪"。
時は昭和初期、花村英子は兄の雅吉に連れられて銀座の教文館まで本を見に来た。休憩に立ち寄った地下の冨士アイスで、日本野鳥の会を発足させた川俣という男性に声をかけられてブッポソウの話になる・・・。
という始まりの"不在の父"、"獅子と地下鉄"、"鷺と雪"の3編からなる連作集。直木賞受賞作。
読みながら「北村薫だなー。」としみじみ思った。私の好きな北村薫。私の好きな文章。
昨年読んだ"
元気でいてよ、R2-D2。"がなんか違うなーと感じたから、なおさらそう思ったのかもしれない。
文学と文化と歴史の知識が知性として滲み出てる文章。偏差値が高すぎて目が素通りしてしまって読み過ごすことが度々だとしても、読むのはとても気持ちがいい。私にもっと教養があればもっともっとおもしろいんだろうな。
漢書の一節にあるという『善く敗るるものは滅びず』って言葉には、ベッキーさん同様、私も希望を込めたいと切に思った。
そしてベッキーさんが英子に伝えた、明日を生きる者しか何事もできないって言葉の意味の深さに心が震えた。
時間ができたら、というか読む気になったら、"
街の灯"、"
玻璃の天"、今作と続けて読みたい。
さらに深い世界が見えるはず。
『世の中が活気づいたのは、拡大主義と戦争のおかげ』って言葉が引っかかる2017年現在である。