
吉田恵輔監督、"ヒメアノ〜ル"。原作は木谷実の漫画。
清掃会社でアルバイトをする岡田は何もない日々を危惧している。そんなことを先輩の安藤に漏らすと、安藤は毎日恋をしていると言い出す。その恋のお相手はカフェで働く女の子で・・・。
これまた私、内容をよく知らないまま観始めたパターン。なので濱田岳が出てきて「あ、濱田岳なんだ。」、ムロツヨシが出てきて「あ、ムロツヨシなんだ。」と知るということに。
そして彼らと絡むことになる女の子がこの娘。

初めて観るなーと思って、まあだけどこの娘がどこまで物語に絡んでくるのかなーと思って。非常に軽ーい気持ちで観始めたわけ。
そしたらなんかラブストーリーな感じで物語が進み始めて、この娘が意外と頑張る娘で、佐津川愛美っていう娘らしくて、なんか直接的にも間接的にも結構エロくて、そんなところがもちろん嫌いじゃなくて、でも一抹の不安みたいなものは抱えてて、どうなるかは分からない興味津々物語だなーと思ったあたりで画面に大きく文字が出てきた。
himeanole
一瞬「ん?何?」って思ったけど、よく考えたらタイトルバックだった。この時点で始まってから40分くらい経ってた。主要キャストの名前もここで出た。
なんでこのタイミングで?って思ったけど、ここから後を観たら分かった。ここで物語のスイッチが切り替わっていたってことに。
こっから先、怒涛のエグさが待っていた。ここまでにあった一抹の不安を百抹、千抹、いや万抹、いやいや億抹にしても足りないくらいのエグさが待っていた。そんなエグさの肝、Mr.エグさこと森田がこいつだ!

演じるのは森田剛。森田を演じる森田。森田オブ森田。
こいつがもうスゴい。キャラクターはもちろんスゴいんだけど、演じる森田剛がスゴい。同じV6だと、それもカミセンだと、役者としては岡田准一ばかりがもてはやされていて、それに納得していた私もいたわけなんだけれども、いやー、森田剛スゴい。
淡々としていてキレッキレのエグさ120%ボーイ。何考えてるんだか分かんない。これは何なのか、欲望を吐き出しているのか、憤りをぶちまけているのか、何かへの復讐なのか。彼を突き動かすものはなんなのか。それが分からない怖さ。
物語は加速度的に悲劇を生んでいく。どんどん、どんどん。
タイトルの"ヒメノア〜ル"ってのはヒメトカゲっていう小さなとかげのことで、強者に食われる弱者を表すとのこと。
やるせないわ。
最後の最後、ちょっとだけ優しい気持ちになれるけど、冷静に考えたら全然取り戻してないからな。