こうの史代著、"この世界の片隅に"。
9年1月、広島。幼いすずはおつかいで海苔を届けに行く。けれど途中で人さらいにさらわれてしまい・・・。
年始に観た映画、"
この世界の片隅に"があまりにもすばらしくて原作を読んだ次第。
9年1月の"冬の記憶"、10年8月の"大潮の頃"、13年2月の"波のうさぎ"と題された短編連作の後、18年12月から"この世界の片隅に"と題された長編が始まる。
読むと映画がとてもよくできていたと気付いて驚く。映画では分かりにくかったけど原作を読んだら分かった、なんてことはよくあるけど、今作に関しては原作より映画の方が分かりやすい。内容も雰囲気も。
原作はドラマチックな部分も割と淡々と描いているし、ページを繰る読者のスピードで物語は進行してしまうから、ここだ!ってポイントも他と同じように読み進めてしまう。
映画には声があり、音があり、編集がある。だからここだ!ってポイントを強くアピールできる。その点において映画はとてもとてもよくできていた。映画化してくれてありがとうと片渕須直監督に伝えたい。
とは言ってもこの原作があったからこその映画なわけで。力強くはないけど芯がある、それこそすずさんみたいな原作。
映画にはなかった画。描かれなかった設定。
この画を観ただけでも原作を読んだ価値があった。
ごきげんよう。