卯月妙子著、"人間仮免中つづき"。
前作"
人間仮免中"から4年半ぶりのコミックエッセイ続編。壮絶な人生の中で出会ったボビーと育んだ愛の続き。
前作が相当に壮絶だったので、今作も心して読み始めた。
そしたらまず画が違う。コマ割りも違う。なんというか、ちゃんと漫画の体を成している。僕らが普通に読んでる漫画に極めて近い形だ。明らかに前作とは違う。
ここでもうこの4年半が彼女にとっていい方に作用したのだと理解できた。
そして描かれている内容も前作に比べればライト。いや、これがもし自分ないしは身の回りで起きたことだとすればそれは相当なこと。だけど前作の内容を知っていれば、これは卯月妙子にしたらライトなことであろうと思える。実際、あとがきで本人も『漫画からすっかり毒っ気が抜けて、拍子抜けされたかと思いますが』って書いている。確かに。
では今作の持つ意味、存在意義とは何か。何故に私は心を動かされたのか。
これはもう確実に卯月妙子とボビーとの純粋で誠実な愛の姿に対してである。ぼろっぼろに壊れた者同士が惹かれ合い、片や年齢的に、片や病状的に、これが最後の愛だと自覚し、その愛を貫かんとする生き様を描いていることこそが、今作の存在意義である。
前作で『この世にあること』が1番だとボビーは言っていた。2番目は『快くこの世にあること』。それが本当にその通りだったと今作で証明された。
生きてさえいれば、どうにかなる。生きること。何事もそこからしか始まらない。
そして生きてる上に愛まで手に入れられたら、それはもう幸せ以外のなんでもないな。
卯月さんとボビーに祝福を!