ジョン・カーニー監督、"シング・ストリート 未来へのうた"。
1985年、アイルランドのダブリンは大不況の真っ只中。若者はどんどんイギリスへ、ロンドンへ出て行く。14歳の少年コナーの父親は無職、母親も週3日しか仕事がなく、そのせいで喧嘩が絶えない。お金がないせいで兄は大学を中退。そしてついにはコニーまで転校させられることに・・・。
号ーーーーーー!!!!!!泣ーーーーーー!!!!!!
泣いた泣いた、泣いた泣いた。間違いなく今年で1番泣いた。映画だけじゃなくて生活における全ての中で。
これはあれだ。この間観た"
君の名は。"に素直に感動できなかった私のための映画だ。"君の名は。"はあっち側の映画で、これはこっち側の映画だ。キラッキラのまぶしいくらいのあっち側の対岸、底辺ってわけじゃないからダークサイドとまでは言わないけど、でもなんならそんなスクールカーストに参加すらしていないこっち側の映画だ。・・・って書いて『何それ?どっち?ていうか何の話?』なんて疑問を持つ人にはどう説明しても理解してもらえない、当事者だけが「だよね!分かる分かる!」って言いながら肩を組める映画だ。
キュンキュンとガーンとウォーッ!とイエーッ!が入り混じって感情をガンガンに揺さぶられた。
揺さぶられて揺さぶられて、最終的に号泣しながら拳を握りしめていた。映画館だから声にこそ出さなかったけど、心の中では「イエーーーッ!!!」って叫んでいた。もう最高。最高の最高。
1985年で14歳ってことは、もろに同世代。MTVでデュランデュランのMV観てるし、まっぽし同世代。
コナーが転校した先がSYNGE STREET(シング・ストリート)って名前の荒れてる学校で、コナーはモデルをやってるという女の子と仲良くなりたくて自分のバンドのMVに出ない?って誘う。バンドなんて組んでないのに。結局その女の子、ラフィナが好感触だったので慌ててバンドメンバーを探すコナー。
その辺がものすごく簡単に都合よく進んでいくんだけど、これは映画的な嘘ってことで全然いい。この映画のメインテーマはバンド結成物語じゃない。バンドのMVを通しての友情とか恋愛とか成長だ。2時間という枠の中で端折るべきは端折り、魅せるべきは魅せる。そのメリハリがとてもいい。ちなみにコナーが結成したバンドの名前が学校名をもじってのSING STREET(シング・ストリート)。14歳っぽくてとてもいい。
14歳っぽいで言うと、コナーはすぐ影響を受けてファッションや髪型がころころ変わる。観ててなんか照れくさくなった。自分にも思うところがあって。
でもそれだけコナーは純粋ってことだ。スポンジが水を吸うようにどんどんどんどん吸収していった。そしてどんどんどんどん転がって、どんどんどんどんカッコよくなっていった。
んでもって、とにかく歌がカッコいい。BGMとして使われている当時のブリティッシュ・ロックはもちろん、シング・ストリートのオリジナルもこれまたとてもカッコいい。歌の成り立ちをドラマとして観ていて感情移入しているから当然なんだけど、どの歌もすんなり受け入れられる。どれもいい歌。
観終わってまずしたのはCDショップにサントラの在庫の有無確認の電話。残念ながらなかったんでポチッとした。早く来いー!
あとあのコナーのお兄ちゃんが最高。マジ最高。
"
シング・ストリート 未来へのうた" ★★★★★
そしてこんな感じのエンドクレジットのとこ、あれを僕は勝手に希望だと思った。
本当の意味なんて知らなくていい。このまま希望だと、成功という希望だと思い込んだままでいい。
シング・ストリートっていうバンドの成功という希望。そんな夢を、ずっとずっと見続けていられるから。
ごきげんよう。