
中村文則著、"最後の命"。
私の意識の奥底からは声のようなものが聞こえる。馴染みのデリヘル嬢・エリコとセックスをした。エリコが帰った後、昨夜の電話のことを考えた。突然の冴木からの電話。明日、7年振りに冴木と会うことになっている・・・。
少年、親、家庭、学校、環境、トラウマ、成長、性、目覚め、勃起、セックス、レイプ、嗜好、はざま、葛藤、苦悩、犯罪、犯罪者、狂気。
2人の少年が経験したこと、そして歩んだ道筋が痛々しく悲しい。どれだけ真っ当でいようとしても、どうしても惹き付けられ、離れられず、囚われたまま。もはや冷静であることは力を持たない。むしろ痛みが増すだけだ。
優しいからこそ生きにくい。いっそ狂えたらどんなに楽か。
いっそ狂えたらどんなに楽か。
ごきげんよう。
中村文則の著作は、日本では純文学と捉えられているけど、海外ではミステリーとして捉えられているそうだ。今作を読めば至極納得。