コーヒー豆を買いにいつものお店に。たまには雑誌でも読もうかと、ちょっと前のクロワッサンを手に取る。ある作家の紹介記事で、ページをめくる手が止まる。
”絲山秋子”、この間芥川賞を受賞した作家だ。受賞作は”沖で待つ”という作品だが、その記事を読む限りではあまり惹かれない。
しかしデビュー作の”イッツ・オンリー・トーク”、これには惹かれた。本人の実体験をもとにしており、挫折と再生、そこから得られた生と死に対する客観的な視線、姿勢が描かれているらしい。
文藝春秋社ということだけ頭にいれて本屋へむかう。文庫の棚を探すが、見当たらない。別の作品でもいいのだけれどと思ったが、彼女の名前はない。まだ文庫化されていないのだろう。
諦めて平積みの新刊を眺める。端からみていく。
”映画化”の帯を巻いた新刊の文庫がある。寺島しのぶ主演で、映画のタイトルは”やわらかい生活”。原作であるその本は・・・”イッツ・オンリー・トーク”。
「呼ばれた」と思った。私にとって今日という日は、この本と出会うためにあったのだ。
読んでみた。面白くないわけがない。併録の”第七障害”もいい。書店員さんの解説もいい。実に満足のいく一冊だった。
などといつものように駄文を書き連ねたが、『イッツ・オンリー・トーク、全てはムダ話』なんだ。
イッツ・オンリー・トーク
絲山 秋子 / 文藝春秋
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