三浦しをん著、"むかしのはなし"。
昔話の世界を現代に置き換えた物語が編まれた短編集。
最初の"ラブレス"は"かぐや姫"をモチーフにした、5人の女性を手玉に取るホストの話。
2話目の"ロケットの思い出"は"花咲か爺"をモチーフにした、空き巣が失敗して逮捕されるに至った話。
3話目の"ディスタンス"は"天女の羽衣"をモチーフにした・・・。
この辺で「おや?」と思う。そして気付く。
実はこれは連作短編集で、その上、昔話をモチーフにしているっていうプロットよりも、タイトルである"むかしのはなし"って言葉の意味の方が重要なんだと。
全編を通してモノローグ形式である。誰かが誰かに伝えようとしている。
その手段は様々であるが、その縛りが小説をおもしろくしているかとなると甚だ疑問だ。
手法とか技術とかテーマとかモチーフとかの縛りが多くて、その中でこういった小説を書き上げたってことは、著者としては満足かもしれないけど、読者としてはちょっとなぁ。ってのが正直なところ。
どう書いてあるかじゃなくて、何が書いてあるかが大事。
てなことを思った。