ポン・ジュノ監督、"スノーピアサー"。
2014年7月、人類は地球温暖化の阻止に失敗し、地球上は全て凍りついてしまった。17年後、未だ凍りついたままの地球上で人類が唯一生き残っているのが【スノーピアサー】と呼ばれる列車の中だった・・・。
長編デビュー作の"ほえる犬は噛まない"、傑作"殺人の追憶"で、その名を私の記憶にとどめたポン・ジュノの最新作。
私が書いた同監督作の感想文ブログは"
グエムル 漢江の怪物"と"
母なる証明"。
あまりにもSFな設定にまず面食らった。
しかしそこで繰り広げられるのはとても原始的な闘争。
最後尾の車両で虐げられている者たちが起こす、富める最前の車両の者たちへの革命。
革命者は前へ前へと進んでいく。
ここでは列車がイコール世界である。
このことが非常に大きな意味を持つ。
小さな世界に見えるが、それこそが世界の全てなのだ。
宗教、人類史、神。
それらを備えた完全な世界なのである。
先が読めず、それでいて多くの示唆に富んだ脚本がすばらしいのはもちろんのこと、画面構成上の演出もまたすばらしい。
まずはずっと列車の中という非常に特殊な空間でありながら、全く飽きさせないということ。これだけでも充分にスゴい。
そしてそのスゴさの上を行く白眉は中盤での戦闘シーンである。
スローモーションで画面の奥と手前、多層的なアクションが行われ続けるのである。
極めて映画的だと思った。言い換えれば、映画特有のおもしろさはここに集約されると思った。大きな画面で観る醍醐味を実感した。
ビッグバジェットのハリウッド映画にありがちな火薬の量とCGによるものとはまた別の醍醐味。
映画館で観てよかった。
観終わって外に出たらすごく寒くて、その寒さが映画とシンクロしていて余韻が意味を持った。
寒い日が続いてるうちに映画館で観るべき映画。
スノーピアサー ★★★★☆