菊地成孔・大谷能生共著”東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・キーワード編”が面白かった。
彼らが実際に東大の教養部で行った授業を編集して一冊の本にまとめたものである。前編として”同タイトル 歴史編”があり、これも面白かった。
この後編は”ブルース”、”ダンス”、”即興”、”カウンター/ポスト・バークリー”の4章からなり、それぞれの章ごとにゲスト講師もいる。
私は楽器を演奏したことがないので、楽理の部分、つまり五線譜がでてくる部分は全く理解できなかった。しかし言わんとすることぐらいは分かった。言葉の通じない異国で、相手の目を見て聞いてればなんとなく分かるのと同程度だろう。
『バークリー・メソッドに沿った普通の作り方をすると、メジャー・キーの序列のⅠコードは「Ⅰ△7」になります。なので「F7」のところは「F△7」か「F」。で、ⅣもⅣ△7なんで「Bb7」は「Bb△7」。Ⅴである「C7」だけがそのまま「C7」、と。』
いや、やっぱり分かってないかも・・・。
でもまあ、それ以外の部分、各章ごとの歴史的な流れとか、それにまつわる彼らの薀蓄、ゲスト陣の解説、質疑応答などが知的好奇心をめちゃくちゃ刺激する内容であるのは確実。ほんとに面白い。
『「blues 【blu:z】」(ブルース)と言う言葉は、もともとは「blue devils」(ブルー・デビルズ)=「憂鬱」を意味する慣用語句からきています。(中略)で、発音は、菊地さんも「ブルーズ」と言われてますけど、実は音韻論が専門の友人から「ブルース」で正しい、というお墨付きをもらっています。』
この文章だけでご飯3杯はいける。その位の意味、価値が含まれていると思う。
だからまるまる一冊読了すると、すっごく賢くなった気がする。気がするだけなんだろうが、それでいいと思う。なかなかそんな本には出会えないのだから。
東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編
菊地 成孔 大谷 能生 / メディア総合研究所
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東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編
菊地 成孔 大谷 能生 / メディア総合研究所
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