赤堀雅秋監督・脚本、"その夜の侍"。
鉄工所を営む健一が夕方、家でプリンをかきこんでいたところに電話。出なかったら留守電に切り替わって妻の声が聞こえてきた。『健ちゃん、またプリン食べてるんでしょ!食べちゃダメだよ!そんなことより冷蔵庫に納豆あったっけ?』その電話の後、妻は・・・。
映画にしてもDVDにしても、あまり予備知識のないまま観る。どんな話かってのはほとんど知らない。誰が出ているのかも知らないことが多い。知っているのは、と言うより気になるのは監督が誰で何を撮った人なのかってことくらい。逆に言えば、それさえ知っておけば、だいたいどんな映画かは分かる。自分の好みかどうかくらいは分かる。
そんなことでこの作品も予備知識のないまま借りて観た。舞台の映画化で、その舞台の演出・脚本をした人が監督・脚本をしているってことくらいしか知らないままで。あ、タイトルがカッコいいなとは思っていた。
だもんで、観始めたらまーた堺雅人が出てきたのでビックリした。
先日の"
鍵泥棒のメソッド"の時も知らなかったけど今回も知らなかった。"半沢直樹"を観て、最近は"リーガル・ハイ"を前作の再放送から立て続けに観ているから、ずっと堺雅人ばかり観ているのである。全く意図していないのに堺雅人祭り開催中なのである。
まあでも立て続けに観ていて思うのは、やっぱりうまいなってこと。ちゃんと演じ分けているもの。それぞれが全く別のキャラクターだもの。大した役者さんだなーと思う。
堺雅人のことはこれくらいにして、映画のこと。
なんか、他愛のない話をしたいとか、人がいるっていいとか、なんか分かる。
大したことじゃないんだけど、だからこそ独りじゃ得られないこと、みたいな。
『なんでもないようなことが幸せだったと思う』的な。全13章的な。そんな感じ。
この映画の中で最も印象に残った台詞。これを意識してるかどうか、理解できてるかどうかは人生においてものすごく大きな違いを生むと思う。
『平凡ていうのはね、全力で築き上げるものだと思うんですよ。』
何もない平坦な道なんてどこにもなくて、ガタガタの道をなんとか平坦にならしてみんな行く。それが平凡。全力で築き上げた平凡。
全力で築き上げた平凡の上で、他愛のない話をする。それが最も幸せなことなんだろうな。
あまりにも普通過ぎて気付きにくいんだろうけど。
昼間、ご飯を食べながらワイフに「また堺雅人が出ててさぁ。」って言ったら、『え?知らないで観てたの?知ってて借りてきたんだと思ってた。堺雅人ブームなんだなぁって思ってた。』って言われた瞬間。
多分、あの瞬間ってのが最も幸せなことなんだな。