イ・ヒョンスン監督、"青い塩"。
ヤクザを引退したドゥホンは料理教室に通い出す。慣れない彼の隣りにはとても手際のいい少女がいて・・・。
ワイフが借りてきていたもので私は予備知識ゼロのまま観た。韓国映画でタイトルが"青い塩"。よく分からないけどラブストーリーなのかなぁと思いながら。
そしたらオープニングがいきなり銃の撃ち合いで面食らった。
主人公が元ヤクザって設定なのでヤクザがたくさん出てきて、なんだか北野武の映画のよう。みんな『バカヤロー!』『このヤロー!』って言ってるかのようだった。
そんな中、主人公を演じるソン・ガンホ、元ヤクザなのにレストランをしたいから料理教室に通いだしたっていう強面なんだかなんなんだか分かりにくいキャラクターを実に自然に演じていて、観ていてすんなり物語に入っていけた。
名優って言うと自分全開、存在全開、演技全開なイメージが強いけど、こういう物語に沿った抑制の利いた演技ができるってことが、実は最も名優と呼ばれるに値するのではないかと思った。
そんな名優ソン・ガンホであるが、お世辞にも2枚目だとは言えない。にもかかわらず、長髪で黒いピンストライプのスーツ姿がどういうわけだかチバユウスケに見えてしまって、これは我が身の視力の低下を憂えるべきなのか、ソン・ガンホの巧みな演技を賞賛すべきなのか考えあぐねた。
途中の展開がかなり粗かったり全体的な尺が長かったりするのはご愛嬌。って思えるくらいにはおもしろかった。