坂本大三郎著、”山伏と僕”。
イラストレーターである著者が思いつきで参加した山伏修行。そこから徐々に山の持つ魅力、山伏という存在そのものへとハマっていく過程を記した体験記。
まず山伏というのは職業ではないってことを知る。そして選ばれた人、限られた人しかなれないわけではなく、その門戸は広く開かれているということを知る。
そして山に入った山伏は、修行をすることで山を、自然を、先祖を、自身を、生を、死を、感じ、知り、そこに様々な答えを見付けていく。
日本、いや、日本なんて国ができるもっともっと昔。名も無き日本列島で暮らす人間の原始信仰。さらに遡って原始信仰すらなかった頃の自然と人間の関わり。
生が特別な瞬間で、死こそが自然で、ゆえに死は『戻っていく』ということ。
なんだか鬱々とした気分が消えていく。
自分なんて大したものじゃないんだって思える。今なんて大したことじゃないんだと思える。
そして、だからこそ、気負うことなく生きていこう思う。
死ぬまでの、自然に戻っていくまでのこの刹那を楽しもうと思う。
読み終えたら心の底に溜まっていた澱がすうっと消えていた。
山伏か・・・。
突然、弊店のドアに【山伏の修行に行って来ます。】って貼り紙がしてあったりして。
フフフ。
ごきげんよう。