石井裕也脚本・監督、”あぜ道のダンディ”。
宮田淳一は配送の仕事をしている。50歳。妻は数年前に他界した。長男は浪人中で長女は高校3年生、つまり受験生2人を抱えている。そんな時、長年介護をしてきた父を看取った親友の真田との交流が再開する・・・。
光石研主演ってのが、まず渋い。真田役が田口トモロヲなのもいい。そして長男役、長女役も素晴らしい。役者陣、最高。そしてジワジワくる脚本とじっくり撮っている演出もいい。
男ってのは見栄を張らなきゃならない時がある。武士は食わねど高楊枝。ダンディって、多分そういうこと。宮田はずっと彼なりのダンディズムを通してきた。多くを語らず、弱音を吐かず、泣き言を言わず。
でもやっぱり不安や寂しさは抱えているわけで。それを吐き出すことができないまま悶々としていて。
それでも自分のダンディズムを貫き通す姿はカッコいい。ちょっとだけ哀しいけど。
意固地なまでの彼のダンディズムが長男や長女にどう見えているのか?どう伝わっているのか?
宮田目線で長男を見たり、宮田に自分の親父を重ねて長男目線で宮田を見たりしながら、家族っていいもんなんだなって思えた。繋がりっていいなって思えた。ブレずに貫き通すことが大事なんだなって思えた。家族や家庭ってものに夢や希望を持っていいんだなって思えた。
10年後、宮田淳一の歳になってこれを観たらどう思うんだろうな。もっともっとグッとくるかもな。楽しみだ。
ごきげんよう。