久住昌之原作、水沢悦子漫画、”花のズボラ飯”。
いつぞや
泡沫さんを訪れた際、忙しげなマダム泡沫が私の前におもむろに置き、『これ、知ってる?』と問いかけてきた。知らなかったが、見れば原作が久住昌之である。興味がないわけがなく、そそくさと第一話を読んで、そして閉じた。
しばらく経って手の空いたマダム泡沫に言った。「これ、買うヤツだわ。」そして買った。
帯に書いてある【久住昌之が贈る女版
『孤独のグルメ』】というのが的確である。話、キャラクター、画、全てにおいて。
主人公のハナコは旦那が単身赴任中の主婦、子供なし。絶賛一人暮らし中の彼女が自分のためだけに作る一人飯の数々のほとんどが、どれもこれも冷蔵庫の材料だけで、しかも短時間でできる超簡単料理(中には贅沢にステーキ肉を買ってきたり、ピザをとったりって回もあり)。いやもう、その行為を料理と呼ぶのもおこがましいくらいの手間かけずっぷりなのだが、これがまたどれもこれも確実においしそう。
いや、おいしいに決まってる。分かる。長い一人暮らしの中で確実に似たもの、なんなら全く同じものを作って食べて一人悦に入ったことがあるからだ。ただ私には鮭をアンチョビだと思い込む想像力がちょっと足りなかった。
彼女くらいの想像力があれば一人飯も格段に充実する。そして彼女くらいの表現力があれば一人飯も相当ハッピーだ。
卵かけご飯にしば漬けを合わせてガツガツかき込みながらの台詞がキュート。
『今ならアタシ ブタと呼ばれてもいいっ 幸せなブタちゃんです』
一人飯が充実している一人暮らし。それは幸せなブタちゃんの生活。
そう、私だって幸せなブタちゃんだ。ブーブー。
ごきげんよう。