ジョン・クラカワー著、”荒野へ”。映画、
”イントゥ・ザ・ワイルド”の原作。
アラスカの荒野に一人で足を踏み入れた青年、クリス・マッカンドレスの足跡を辿るノンフィクション。
青年はなぜアラスカを目指したのか?いかにしてアラスカに辿り着いたのか?そして、なぜ死んだのか?
本作は自身も過酷な旅を経験している著者の綿密な取材に基づいている。ゆえにマッカンドレスへの評価は一概にいいものばかりではなく、準備を怠ったまま厳しい自然へ足を踏み入れた愚か者とみなされたことも書かれている。これは映画ではあまり描かれていない一面である。
映画は夢とロマンに満ち溢れた無鉄砲な若者が、不運にも自然との折り合いを付けられなかった様を描いていて、そこに彼への批判というものはなかったように思う。
映画としてはそれで正解だった。2時間という限られた時間であるし、テーマを絞った方が伝わりやすいからだ。実際、私は映画に強烈に感動した。
対して本作での感動の度合いはかなり薄い。しかしながら代わりに当時の世論などの周辺状況といったものを詳細に知ることができ、クリス・マッカンドレスという青年の死の意味を客観性も含めて深く見つめることができた。
本作が原作となって映画が作られたのだが、私は映画のサブテキストのように読んだ。
そして映画で最も感動した言葉が、トルストイの”家庭の幸福”から導き出されたものだと知った。
いつか読んでみよう。クリス・マッカンドレスと同じように真実に触れるために。
ごきげんよう。