片山ユキヲ著(朗読協力・朗読原案 東百道)、”花もて語れ”。
風呂をテーマに古代ローマと現代日本を行き来する漫画、”テルマエ・ロマエ”を知った時も、そのフォーカスの当て方にビックリしたけど、朗読をテーマにしている漫画があると知った時にも同じようにビックリした。それが”花もて語れ”。
第一話は主人公【ハナ】の小学校時代だ。両親を事故で失い親戚に引き取られたハナは言葉を話せなくなっていた。一人で空想に耽る毎日。ある日、ひょんなことから教育実習生、折口と出会う。折口は想像力豊かなハナに朗読の才能を見出し、ハナは朗読に興味を持つ・・・。
もうこの第一話の話し出せないハナに、小さい頃、というか若かりし頃、というかほんのつい最近まで、なんなら今でも時折、引っ込み思案で人見知りの自分と重ね合わせてしまい、感情移入全開フルスロットルで泣けて泣けてしょうがなかった。この時点でずっぽりハマった。
第二話以降は成長して就職し、社会人一年生のハナの物語。そこでまた改めて朗読と出会うことになる。
今まで朗読なんて声を出して読むことだろうと思っていたが、それはただの音読だと気付かされた。朗読とは、その物語を読み込んで読み込んで地の文と会話の成り立ち方を考え、地の文は作者の、会話はそれぞれの会話の主の気持ちを考え、一旦自分の中に落とし込み、そこから自分が表現したい物語を読み聞かせる行為。つまり、物語を深く深く読み解いていなければ朗読はできないのだ。
なんという奥深い行為!
”花もて語れ”を読みながら、最初は黙読だったけど、いつしか音読していた。声に出して読んでいた。それはまだまだ朗読には程遠いのは承知の上で、それでも声に出して読みたくなったのだ。
『クラムボンはわらったよ。』『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
題材になっていたのは宮沢賢治の”やまなし”。
実際に声に出してみると分かった。朗読というのは相当に難しい。求められる理解力と表現力がハンパない。でも、でも、やってみたいと思った。
並べるのはどうかと思うけど、カラオケが嫌いな私でも、朗読なら好きになれそうだと思う。
その内、早い時間に弊店のドアの外から耳をそばだててみたら、BGMに紛れて私の声が聴こえてくるかもしれない。繰り返し繰り返し、いろんなトーンとテンポで「クラムボンはわらったよ。」と言っている声が・・・。
ごきげんよう。
今月末には第三巻が発売。楽しみ~。