
園子温監督・脚本、”冷たい熱帯魚”。
小さな熱帯魚店を営む社本の家庭は複雑でうまくいっていない。ひょんなことから巨大熱帯魚店を営む村田と知り合い、社本、妻、娘は村田の押しの強さに飲み込まれていく・・・。
恐怖は針が振り切れてしまえば笑いに転化するんだと改めて気付いた。最初の凄惨なシーンで思わず笑ってしまったからだ。頭には”ごっつええ感じ”の『産ませてよ!』のコントがあった。異常や不条理が普通になってしまった世界なんて笑うしかない。
村田夫婦の人心掌握術、チームワークと仕事の速さ正確さ効率の良さには唸らざるを得ない。唸ると同時にこれもまた笑うしかない。恐怖の針はとっくに振り切れて壊れてしまっている。
普通の生活をしている人間が地獄に落ちて狂気と絶望の淵に辿り着くまで、血と肉と臓物の海を泳ぐようになるまで、大して時間はかからないんだな。
生きているということを痛みでしか実感できないってことが不幸の始まりだと思った。
”冷たい熱帯魚” ★★★★
注意:実際に起きた
埼玉愛犬家連続殺人事件を元にしたこの映画、軽い気持ちでうっかり観ちゃダメですからねー。