クリント・イーストウッド監督、”ヒアアフター”。
パリ在住の女性ジャーナリスト、サンフランシスコ在住の霊能力者、ロンドン在住の双子の少年。それぞれがそれぞれなりの【死】と向かい合い、そして交錯する・・・。
”チェンジリング”、”グラン・トリノ”、”インビクタス”、ここ3作がとんでもない大傑作ばかりだったイーストウッド。なので観に行かない理由がない今作。最初の津波のシーンはとてつもないインパクトがあり、双子の少年と母親の関係性はとても丁寧に描かれていて、やっぱりイーストウッドに外れなしと思えた序盤。だ・っ・た・け・ど・・・。
これ、製作がスピルバーグ。何かで読んだところ、スピルバーグがこの脚本をイーストウッドに見せ、感動したイーストウッドがメガホンを取らずにはおれなかったという話。てことは、これの最終的な編集権は誰が持っていたんだろう?
多分、いや、間違いなくスピルバーグ、もしくは製作者であるスピルバーグが依頼した編集者。イーストウッドにはその権限はなかったと思われる。
だってだってだって、途中の目線が交互に変わるカットの編集の粗いこと粗いこと。私みたいな素人目にも雑で雑で、物語とは関係なくテンションが下がりまくった。
そしてその下がりまくったテンションのまま物語がクライマックスに向かったので、本来なら涙するところでどうにもこうにも心動かず。し・か・も!ラストも編集の粗さゆえなのかなんなのか、主人公たちの心理の変化が全くもって不明瞭で、頭には「なぜ?」の嵐が吹き荒れ、合理的な解決というか説明がないまんま終了・・・。カタルシス皆無。序盤が丁寧だった分、全体的な尺を考えたら後半が駆け足にならざるを得なかったのか?
イーストウッド御大は悪くない。・・・と、信じて次作に期待。
”ヒアアフター” ★★☆