星野智幸著、小野田維画、”水族”。
星野智幸の”俺俺”を買おうとしたらこの作品の存在を知り、【水】って店をやってる以上、このタイトルで買わないわけにはいかないってことで即購入した一冊。実際”俺俺”は未読で、この作品が私の初めて読む星野智幸作品となった。
主人公はガラス張りの部屋に通され、そこで生活するよう言われる。ガラスの向う側では魚たちが泳いでいた・・・。
いかんせん星野智幸初体験なので、どういうスタンスの小説なのかもわからぬまま読み進めていった。冒頭の感じだとちょっと(謎があるっていう意味で)ミステリーっぽいのかなと思ってしまったが、全くそんな作品ではなく、がっつりファンタジーだった。それも結構哀しいファンタジー。テイストとしてはいしいしんじの小説に近い。
この作品は岩波書店のCoffee Booksというシリーズで、短編小説と装画で一冊の体を成している。これまた【珈琲と洋酒】の店にはうってつけの作品なわけで、コーヒーを飲みながらの落ち着いたひとときにどうぞってコンセプトなんだろう。短い時間で読み終えることができるし、装画もユニークでキレイだ。
弊店を愛してくれている水ラバー改め【水族(みずぞく)】の方々には、会員証代わりに一冊ずつプレゼントしたいくらいだ。あくまでも「したい」って希望だが・・・。
てなことを思いながら読み終えて奥付を見たら【水族(すいぞく)】って読み仮名が書いてあって、ちょっぴりダッフンダな気持ちになったのであーる。