先日読み終えた山口晃著、”
すゞしろ日記”。
これに書いてあって印象に残っているのが、真の芸術ってのは『ほぉーっ。』と心奪われるもので、その手段とか方法が気になるようなものは感動が希薄なわけだから、芸術としての力が弱いってこと。
ふーむ、そうだよなぁと納得。そしていろんなことに置き換えられると思った。例えば食べ物や飲み物。何かを食べて、何かを飲んで、ほんとーに「うまい!」と思えたら、ただそこに酔いしれてしまうだけなんじゃないだろうか。これは材料が何でどうやったらこんな味になって、なんて考えられるってことはおいしさの力が弱いんじゃないだろうか。職業的な味の分析ってのも、すぐにではなく、しばらく後じゃなきゃできないことだと思う。
それともう一つ。会話。他人と話をしていて、自分としては興味深く聞いているつもりなんだけど、どうしてもいらんことを考えてしまう時がある。この人はなんでこんなことを言っているんだろう?なんだか大げさじゃないか?嘘とは言わないまでも結構なホラじゃないか?あ、また出た、これは口癖なのか・・・。などなど。
こう思ってしまうってことは、話そのものへの興味が希薄なわけだ。でもって話し方や素振りの方に気がいってしまっているわけだ。集中力うんぬんは関係なく、冷静な神の視点の如き客観性が不意に訪れるのである。
それがいいことか悪いことかで言ったら、まあ、あんまりハッピーな状態ではないな。
芸術にせよ食べ物にせよ飲み物にせよ会話にせよ、力のあるものに接していくってことが心豊かな生活を送るってことなのかもしれない。まあでも、そればっかりだとちょっと疲れちゃうんだろうけど。