日曜日、ずっと行ってみたかったジンギスカン屋へ行った。
オシャレとかキレイなんてのとはまるで対極の店内。メニューはジンギスカン、めし、ビール、焼酎のみ。座敷に座るなり、親父が『うちは初めて?ならそこの貼り紙を読んでね。』と言う。
【マトンとラム肉の違い】と題された貼り紙を読む。マトンは12ヶ月よりも成育した羊肉で、ラムは12ヶ月までの子羊肉。だから一概にラムと言っても12ヶ月のものもあれば6ヶ月のものもある。成育がいけばいくほど肉の臭みが強くなるそうで、成育期間が短いほど臭みのない上質の肉ということになる。そしてその店のラムは4ヶ月成育のもの。つまり臭みなんて全くないラム。【フランス料理用のラム】で【世界で唯一のジンギスカン】なのだ。
肉と野菜が来た。親父が言う。『肉を嗅いでみて。全く臭いがしないから。そして脂身のところを触ってごらん。ベタってしないでしょうが。これがいい脂なのよ。サラーっとしてるからいくらでも入るよ。お腹のどこに入っていってるかわからんよ。お兄ちゃんだったらそうねぇ、1キロ500は食べれるんじゃないかなぁ。』
肉を焼く。親父が言う。『生でも食べられる肉だからそんなに焼かないでいいよ。さっと焼いて、裏返して、そしてまたさっと焼いて、はいそのくらい。そしてそのタレは自家製だからねぇ。その薬味も使って。たっぷり使って食べてねぇ。』
肉を食う。うまい。軽い。親父が言う。『どうね?・・・甘いでしょうが!肉が甘くて脂がサラーっとしてるでしょうが!食べて食べて!』
肉を食う。親父が言う。『うちもねぇ、私がじいさんと始めたのが・・・・・・・・・(延々続く)。』
隣りに予約の親子連れが来る。40代夫婦と高校3年生の息子。3人でいきなり『6人前お願いします。』親父が仕事に戻り静かになる。バンバン焼いてワッシワッシ食べていたお隣りさんは、結局3人で8人前とご飯2杯をたいらげていた。まあでもそれもわかる。ほんとに脂が軽くて入っちゃうから。
正直、親父のしゃべりがうっとうしい時もあったけど、まあそれもあの店の味ってことで納得しよう。
ごきげんよう。
あ、積極的に後継者募集中らしいっす。と、補足情報。