スティーブン・ウォーカー監督、”ヤング@ハート”。
冒頭、おばあちゃんがThe Clashの歌を歌い上げる。”Should I Stay or Should I Go”を歌い上げる。パンクロックを歌い上げる。同じようなおじいちゃんおばあちゃんのコーラス隊を引き連れて。これでグッと心を掴まれた。
アメリカ、マサチューセッツ州の平均年齢80歳のコーラスグループが歌うのはクラシックやオペラなんかではなくロック。そしてパンクやファンク。このグループの名前は【ヤング@ハート】。これは3ヵ月後にコンサートを控えたヤング@ハートを追うドキュメンタリー映画。
日本は高齢化社会だなんだと言うが、彼の地アメリカもそうなんだろうと思ってしまう程、おじいちゃんおばあちゃんが活き活きとしている。とーっても素敵な歳の取り方をしている人たちばっかり。みーんな美しい。
で、歌うのがロック。このギャップがたまらない。日頃好んで聴くのはクラシックなのに、このヤング@ハートのドSプロデューサー・ボブの意向で次々に新しいロックを歌わされる。でもそれを最初こそ怪訝な表情をするものの、練習を重ねるにつれ、徐々に形になるにつれ、思い入れが芽生えるにつれ、自分たちのものにしていく。そしてキッチリ歌えた時のあの嬉しそうな表情と興奮した感じ。いいなぁ。ああいった体験が彼ら彼女らをヤング@ハートなままでいさせているんだろう。
巨漢のフレッドじいちゃんが哀切を込めて歌う、Coldplayの”Fix You”を聴くだけでもこの映画を観る価値がある。