ガス・ヴァン・サント監督、ショーン・ペン主演、”ミルク”。アカデミー主演男優賞と脚本賞を受賞。
1970年代、ハーヴィー・ミルクはニューヨークでホモセクシャルであることを隠して生活していた。ゲイであることを理由に解雇されかねなかったからだ。しかし偶然出会ったスコットに諭され、それまでの生き方から脱却するべく一緒にサンフランシスコへ向かう。そして彼はその地でゲイの権利を主張するため、政治活動に没頭していく・・・。
アメリカで初めてゲイでありながら公職に就いた実在の人物、ハーヴィー・ミルクの物語。ショーン・ペンの演技が実に素晴らしい。おっとりとしたしゃべり方、しなやかな身のこなし、なめらかな指の動き、そして時にねっとりとした視線。ゲイにしか見えない。ショーン・ペンの役作りとしてのアプローチの確かさはもちろんのこと、自分がゲイであることをカムアウトしているガス・ヴァン・サントの演技指導に寄るところも大きいだろう。
1970年代、自由の国アメリカにおいてもゲイは明らかな差別を受けていた。今からは到底考えられないような差別を。その差別に対して真っ向から立ち向かったハーヴィー・ミルクは、時に人間的な弱さを見せつつも実に高潔で美しい人物だった。彼は自分たちの真っ当な権利を力強く主張した。全てのマイノリテイーが希望を失くさないために。そう、希望があれば人は生きていけるのだ。
当時の実際のニュース映像やインタビュー映像などが差し込まれており、その中でインタビューを受けていた人の言葉が印象に残った。
『1人の人権を侵害するものは、そのうちみんなの人権を侵害するものになる。』
【情けは人のためならず】みたいなことだが、みんながその感覚を持てば差別もいじめもなくなるんじゃないかと思った。
”ミルク” ★★★★
ちなみに弊店が入っているビルの最上階ワンフロアーは、オカマさんがショーをしたり接客をするショーパブ。弊店の対面はオカマさんがママのバー。
そんな環境なんで、ゲイの方々に対しては非常に寛容で理解があると自負している。
が、たまに「そんなに舐めるように上から下まで見ないでぇ・・・。」と思うことがある。そんな時は気付かないフリでやり過ごすしかない・・・。