井口奈己監督・脚本、山崎ナオコーラ原作、”人のセックスを笑うな”。主演は松山ケンイチと永作博美。
松ケン演じる【みるめ】は美大生。ひょんなことで出会った女性は、たまたま新任の非常勤講師だった。それが永作演じる【ユリ】。ユリの年齢その他諸々を知らないままユリに惹かれていくみるめ。2人の恋の行方は・・・。
結構なタイトルだが、まあ、そんなシーンはない。ただその前後は描かれる。この流れだとおそらく・・・なシーンではなんだか恥ずかしくなってドキドキし、一線を越えた後でしかできないイチャイチャっぷりなシーンでは優しいふんわりした気持ちになる。
”犬猫”同様、物語の芯の部分ではなく、その前後や横っちょに転がっているドラマティックではないドラマがいい。長回しや遠景の構図が多いのはそれを効果的に観せるためだろう。意識的に余白部分を作っているのだ。ある程度以上からは観ている側に委ねているのだ。だからまるで我がことの様に恥ずかしくなったりふんわりしたりするのだ。
みるめの同級生【えんちゃん】を蒼井優が、【堂本】を忍成修吾が演じている。恋愛の神様は意地悪なので、それぞれの恋の矢印は一方通行。この設定がまたニクい。男子なら堂本に確実に感情移入できる。女子ならえんちゃんに確実に感情移入できる。その上で男子はみるめのような恋をしたかったと憧れ、女子はユリのような恋をしたいと憧れる。誰しもツボが満載なのである。
なんにしてもLOVEはいいね。素直にそう思える映画。
この映画のイングリッシュタイトルは”Don’t laugh at my romance”。
人がどう思おうが構わない。自分が気持ちいいってのがまず大事。自分が気持ちよければ相手にも気持ちよくなってもらいたくなる。相手を気持ちよくさせたくなる。結果、人のことをより思うのだ。それがLOVEだろう。
誰でもない自分だけのLOVE。そんなLOVEで溢れれば世界は平和に違いない。
【心くすぐる 井口奈己監督の世界】、本日開催です。当日券もございます。
監督のお話を直接聴ける機会なんてそうそうございません。
興味のある方は是非お越しください。ごきげんよう。