キース・フルトン&ルイス・ペペ監督、”ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド”。
英国の辺境の岬(ヘッド)に住む結合体双生児のトムとバリー。世間と隔絶した暮らしを送っていた彼らは演奏未経験ながら、その特異性に目をつけた興行師によってロックバンドを組まされデビューすることになる・・・。
彼らのバンド、ザ・バンバンは単純にカッコいい。スタジオミュージシャンによるリズム隊は音が太い。そこにトムのギターと破滅的なバリーのボーカルが乗る。狭いライブハウスで演奏する彼らの姿も音も、ザ・パンクバンド。ドキュメンタリー的な撮り方(と
臨終感臨場感溢れるカメラワーク)がそのたたずまいに更なる説得力をもたらす。
そしてザ・パンクバンドだった彼らは、その定石通り、表舞台に立ったが故の悲劇を体現してしまう。岬に住んでいた頃の彼らにしてみたら、【ただの悪い夢】に違いない。
もともと興行師は彼らを奇人(フリークス)として、見世物として売り出そうとした。ここで私はある作品を思い出した。愛する中島らもの遺作であり、アンソロジーに収録されている大傑作短編、”DECO-CHIN”だ。あまりにも素晴らし過ぎる作品なので、読めば彼の死を惜しまずにはいられない。必読。
ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド スペシャル・エディション
/ 角川エンタテインメント
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蒐集家(コレクター)―異形コレクション (光文社文庫)
井上 雅彦 / / 光文社
スコア選択: ★★★★