コーヒーを売り物にしていると、たまにいわれる言葉がある。『バリスタなんですね。』
いやいやいや、それは違う。それはイタリア語で、つまりはエスプレッソマシンを使いこなしてこそのバリスタなわけで。エスプレッソマシンを使いこなし、スターバックスに代表されるミルクと甘味が入ったコーヒー、いわゆるラテを作る方達がバリスタと呼ばれるわけで。
私がしているネルドリップで一杯ずつ淹れるやり方なんていうのは、下手したら時代遅れの旧態然としたものだ。しかしながら、それでも私はこのやり方が一番だと思っている。最もコーヒーの美味しさを引き出せる方法であると信じて疑わない。
そんな昭和を引きずる私でもラテ系のコーヒーを飲む時がある。しょうがなく飲むわけではない。飲みたくて飲む。ただしドリップコーヒーとは別の飲み物、ジュースに近い飲み物、コーヒーっぽい飲み物だという認識の元でだ。感覚としてはコーヒー牛乳に近い。
だからバリスタと呼ばれることには酷く抵抗を感じるし、全く違う業種だとすら思っている。
あまり人には伝わらないこの想い、明確な言葉にしてくれた人がいて胸がすく思いがした。東京銀座のカフェ・ド・ランブル店主、関口一郎氏の言葉がそれだ。自家焙煎コーヒー店の草分け、生きる伝説とも言える彼の言葉。ミシュランがコーヒー屋にも☆を付けるのならば☆☆☆を獲得すること必至の名店創業者であり、すきやばし次郎の小野二郎氏と同じように今もまだ店主であり続けている彼の言葉。
『あれは、ミルクビジネスだから。』
グッときたぜよ。