”シャル・ウィ・ダンス”の周防正行、”ウォーターボーイズ”の矢口史靖に続き、普通の人のちょっと熱い日常をライトコメディータッチで描く山下敦弘監督の”リンダリンダリンダ”。文化祭を目前にした女子高生が即席バンドを組んで、体育館のステージで演奏するまでの物語。
三日間のできごと、バンド結成から曲選び、お互いの意思疎通、練習風景、恋愛、友情が、奇をてらうことなく丁寧に描かれている(細かくてしょうもないギャグはあるが)。
長回しやカメラ据え置きのシーンが多く、これがゆったりとした印象を与えている。今よりも一日が長かった学生時代の雰囲気をその映像に閉じ込めている。
ボーカルは韓国からの留学生”ソン”。演じるのは”ほえる犬は噛まない”のペ・ドゥナ。たどたどしい日本語で適当な返事をして、意味も解からず”僕の右手”を歌う。実にキュート。他のメンバーもキャラ立ちがしっかりしていて、その背景もわかり易い。とてもいい塩梅の脚本だ。
一番なにがいいって、彼女らが音楽を常には最優先にしていないところがいい。個人個人の恋愛が瞬間的に最優先事項になるのだ。高校生なんてそんなもんでしょう。非常にリアリティーを感じるし、共感できる。淡い思いを思い出す。
そして最後は体育館で”リンダリンダ”と”終わらない歌”。どう考えてもこのエンディングしかない。王道も王道。そうだとわかっちゃいるけど泣けてしまう。
彼女たちの”ブルーハーツ”に”青い心”に”パーランマウム”に心打たれてしまったのだ。
リンダリンダリンダ
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