カクテルの王様、マティーニ。ジンとドライベルモット、オレンジ・ビターズをミキシンググラスでステアしてカクテルグラスへ。オリーブを沈めてレモンピール。これがオーソドックスな作り方です。
昨晩のお客様は『ウォッカマティーニをシェイクで。』とのご注文。ベースのジンをウォッカにかえて、ミキシンググラスではなくシェイカーでお作りしました。
一口目は問題なかったようですが、二口目を飲まれたときにおっしゃいました。『もうちょっとハードシェイクをした方がいいと思うよ。』
後頭部をなぐられたような衝撃でした。勘違いしないでください。自分の作ったものを否定されたからではありません。マティーニをシェイクすることの意味がはっきりとわかったからです。目の前がクリアーになりました。
もともとミキシンググラスでキリッと仕上げるものを、わざわざシェイクすることの意味。
シェイクすることによって、空気を十分に含ませ、まろやかな口当たりに仕上げることが大事なんです。つまり通常のマティーニとレシピは同じでも、作り方だけでどれだけ幅を持たせることができるか、どこまで違う味わいに仕上げられるかが大事なんですね。
やっと気付きました。
今までは他のシェイクして作るカクテルとさしてかわらない振り方でした。それではミキシンググラスでつくったものとの違いが、大きくないんです。まったく別ものになるくらいハードシェイクしなけりゃ意味がないんですよね。
昨晩のジェームス・ボンドに感謝します。気付かせていただき、ありがとうございました。
次回はスーパーハードシェイクでお作りしますね。