TBSドラマ、"ハロー張りネズミ"。
下赤塚にある【あかつか探偵事務所】は人情とおせっかいをモットーにしていて、普通の探偵事務所が扱わないような案件を好んで引き受ける。そんなあかつか探偵事務所の探偵は五郎とグレ。到底繁盛しているとは思えないが2人に危機感はない。そして所長は昼間から飲んだくれている。そんなあかつか探偵事務所に依頼者が現れる・・・。
脚本・演出が大根仁で主演が"
まほろ駅前番外地"での盟友・瑛太、サブに回るのが
怪優・森田剛、深田恭子と山口智子に興味はないけれど、この布陣で弘兼憲史原作の"ハロー張りネズミ"という私立探偵もののドラマ化とあっては期待せずにはおれない。前つんのめりで第1話を観た。
そしたらあまりにも期待が大きすぎたのか、なんだかイマイチ。どうにも人情が過ぎるというか、いい話を通り越してファンタジーになっていて、人情大好きなはずの私なんだけど、正直「この先ヤバいかも」って思った。
しかしながら第2話が殺人事件絡みのハードボイルド展開で、なんだかいい感じの探偵物語。し・か・も!ミステリアスな依頼者、深田恭子がすっごくかわいい。もうこのかわいいかわいい深田恭子を眺めるためだけにこのドラマを観続けてもいいとさえ思えた。
第2話と第3話が上下になっていて、なんだよ1話完結じゃないのかよ、なんて悪態をついたけど深田恭子がかわいいからいい。許す。
そしたら第4話と第5話も上下って。だからさ、なんで1話完結じゃないわけ、なんて悪態をついたけど深田恭子がかわいい上に、蒼井優の存在感がハンパなかったからいい。許す。でもおばけが怖すぎたのは問題だと思う。
この上下スタイルでいくんだなーと思っていたら第6話から1話完結になっていて、なんだよ、やればできるじゃん、これでいいんだよ、これが好きなんだよ、イエス!1話完結探偵もの!70年代の日テレスタイル!傷だらけの天使!俺たちは天使だ!探偵物語!ってテンション上がった。
第7話が葱にまつわるいい話で、モチーフが葱なのに泣けた。葱が目に沁みたのかな(うまいこと言ってる風)。
そしたら続く第8話がサブキャラのグレと中華屋のおっさんの2人旅の回で、これが明らかに"幸福の黄色いハンカチ"のオマージュだったんだけど、自分でもびっくりするくらい大号泣してしまった。もう泣けて泣けて泣けて。森田剛と國村隼、最高。マジ最高。この回が素晴らしすぎて本家"
幸福の黄色いハンカチ"を観るに至る。
最終話、お金がなくって大ピンチのあかつか探偵事務所。所長が助けを求めた大手探偵事務所で言われた『今時、映画やドラマに出てくる私立探偵みたいなのが成立する時代じゃないんだよ。』って言葉が、なんというか、今時、探偵ドラマが成立する時代じゃないんだよって言ってるようで、そしてそれがものすごく腑に落ちて、私は大好きだけど、この手のドラマがないってことはそういうことなんだよなーと痛切に感じた。そしてこれが脚本を書いた大根仁の本音であり心情の吐露なんだなと思った。自分は好きだし撮りたいけど時代がもうそうさせてくれない、みたいな。
ラスト、なんだかんだで事務所存続になってオールオッケー。終わり良ければすべて良し。"傷だらけの天使"と"探偵物語"はラストが悲しくてちょっとね。それからすると"俺たちは天使だ!"はラストが嘘みたいにハッピーで大好き。今作も最終回で急にシリアス展開になったりせず、ラストがハッピーでよかった。
ってところからエンディングへの入りが毎回最高だった。最終回の遊びもよかったな。
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ハロー張りネズミ" ★★★★☆