ちょっと前の山形屋の催事場での話。”日本の職人展”みたいな催しがありました。どんなもんだろうと興味本位で暇つぶしに出かけました。
入り口からすぐのところでコマ(漢字で独楽、くるくる回すやつ)作りの職人さんが、実演販売をされていました。高速で回る木にノミをあてて、削りながら形を作っていきます。これは見ていて飽きません。一本の木から徐々にできていくコマの造形の過程がおもしろく、それを見事なノミさばきでコントロールする職人さんの技。童心にかえって釘づけになっていました。
しかし、そんな私より釘づけの方がいました。わりと大柄な男性が腰をかがめて、職人さんのまん前に陣取ってご覧になっていました。横にいたチビッ子が『このお兄さん、邪魔だなぁ。』といった視線をおくっていましたが、まったくお構いなしでした。
私にとってはコマよりもその彼の方が興味をそそる対象となっていました。「どんだけコマが好きなんだよ。」と思いつつ。
すると彼のお連れの女性が彼の背中をたたきました。『いつまで見てんの?いくわよ、もう。』という声が聞こえてきそうな感じで。
彼は『ん? あぁ。』と今、我に返ったかのようなそぶりで振り返りました。すると・・・。
なんと私の中学校の同級生、I君でした。いやぁ、10数年振りの再会がこんなシチュエーションとは・・・。お互いにびっくりです。
「何してんの?」『いや、買い物に来てさ。何してんの?』「え、職人さんを見にさ。」『俺も。』などという馬鹿マルだしな会話から始まりました。
で、お互いの現状報告をしまして、これまたびっくり。私は彼はてっきりお医者さんになってるもんだと思っていたんですが(お父様の仕事の関係で)、なんと料理人になっていました。なんでまた・・・と「?」の嵐。まぁ、彼からすると今の私の職業に違和感を感じるんでしょうけど・・・。
なんかお互い様というか、似たもの同志というか、「やっぱりそうか」というか、変な縁を感じました。
彼が御家族と来ていたのであまり話せませんでしたが、今度ゆっくり話す機会があればいいなと切に思います。お互いにすごく共感できることが多いのではないでしょうか。