片山ユキヲ著(朗読協力・朗読原案 東百道)、"花もて語れ"。
読み始めた頃に
「"花もて語れ"もて語れ」というタイトルで感想文をここに書いた。その後、続きが出るたびに買って読んでまた待ってを繰り返し、先日やっと最終の13巻まで読み終えた。
ハナはあれからメキメキと朗読の力をつけていく。その過程で満里子という腹心の友を得、切磋琢磨し、時に衝突し、時に恋愛のようなものを経験する。その傍らにはいつも朗読があり、2人はもちろん、その周りの仲間も朗読によって励まされ、勇気づけられ、癒されていく・・・。
朗読することで作品の真の意味を知ることが、もしくは深く知ることができる。ということに気付かされた。
そしてそのように朗読のすばらしさを伝えながら、全ての登場人物に救いや癒しをもたらし、結果的にキレイに伏線の回収をするあたり、構成の見事さに舌を巻いた。
この物語には希望がある。傷つき、生きることにためらいを覚えた者が踏み出す小さく弱い一歩。その一歩を優しく強く肯定してくれる。踏み出した【想い】はちゃんと伝わるんだって教えてくれる。それはどんなことよりも尊い。まさしく希望。
最終話、ハナが朗読するのは有島武郎が母を亡くした幼子へ想いを綴った"小さき者へ"。
『なにも恐れるな なにも恐れるな』と歌う
ハッチハッチェルオーケストラの"道"と完全にシンクロしていて、自分の中ではミラクルなラストで鳥肌が立った。(以下引用)
小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
行け。勇んで。小さき者よ。
ごきげんよう。
想いは伝わる