何事も会得する、マスターするのには時間がかかります。それはお酒の飲み方も一緒。若い頃は何度もお酒に呑まれます。自分とお酒との距離感みたいなもの、これが分かるのには相当な時間と経験が必要ですし、分かってもなお失敗してしまいます。
私自身も今現在、その距離感が分かったような分かってないような日々を過ごしています。飲んだり呑まれたりです。
週に2,3回いらっしゃる男性のお客様がいらっしゃいます。歳は60を過ぎた位。この方のお酒の飲み方が非常に気持ちがいいんです。
洒落たものを飲むわけでも、お酒に特別詳しいわけでもありません。ただ楽しそうに飲んでらっしゃるだけなんです。いつでも、誰といらしても。
これは簡単そうに思えて、とても難しいことです。美空ひばりが”悲しい酒”と歌うほどですから、世の中は楽しい酒ばかりではないのです。
それなのにそのお客様のお酒は、見ているこちらが分かるほど100%楽しいのです。まあ、お連れの方はたまにセクハラまがいの発言を不快にお思いでしょうけど・・・。それでも許されるというか、よしとされる雰囲気をお持ちのようで、やっぱり一緒にお見えになります。
私はその方がお見えになるたびに思います。こういう方が、酔いどれ天使なんだなと。お酒に酔いつつも場を明るく保つ、サービス精神が服を着ているような方。失礼を承知で言うと、ほんとにいい感じの酔っぱらいです。
私も30年後にはああなれるのでしょうか。酒飲みの一人として、ああなりたいな、あんなお酒を飲みたいなと思います。
酔いどれ天使
/ 東宝
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