万城目学著、"鴨川ホルモー"。
「ホルモン」ではなく「ホルモー」。聞き覚えのない言葉だと思うが、「ホルモー」とはとどのつまり一種の競技の名前である。大学に入学して間もない【俺】がいかにしてホルモーに取り込まれてしまったかというと・・・。
バカバカしさの極みである。なんじゃ?ホルモーって。
物語が進むに連れてホルモーがどんなものであるかが明確になっていく。
そして明確になればなるほどそのバカバカしさが増していく。
なのに!
なんだこの読後の爽快感!よくできた青春小説じゃないか!
ホルモーという競技(?)のバカバカしさが、うまい具合に物語にフィルターをかけている。
ベタでちょっといい話チックな青春小説をホルモーでコーティングすることで、どうにも不思議な訳分からない感じの小説に仕立て上げている。
骨格だけ見たら王道の展開なのに、バカバカしさゆえにそこに気付かせないのだ。
だから読後に変な気持ちになる。
こんなのでちょっと感動していいんだろうか、みたいな。これをいい話って思う俺は大丈夫か、みたいな。これをおもしろいって言っていいのか、みたいな。
って思いながら解説を読んでたら、全く同じことが書いてあって安心した。
レーズンを吸い込んだらこんな気分だろう。すぽん。