三浦しをん著、"まほろ駅前多田便利軒"。
東京郊外で便利屋を営む多田。仕事に行った先でたまたま出会った男、それが高校の同級生である行天だった。行くあてがないと言う行天を多田は渋々受け入れる・・・。
まず
映画をDVDで観た。原作を読みたくなった。その後
テレビドラマを観た。原作を読みたいという欲求はさらに高まって読むに至った。
映画もテレビドラマもよかったのは、やっぱり原作であるこの小説がいいからだ。何よりここに、まんま脚本に使える台詞が書いてある。多田の言葉も行天の言葉もその他の登場人物の言葉もグッとくるものばかりだ。
『だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ』
『だけど、まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、おまえはだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されてる』
『愛情というものは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうことをいうのだと』
『不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはない』
『すべてが元通りとはいかなくても、修復することはできる』
今までいろんなことを諦めてきた、もしかしたらいまだに何かを諦めているような僕にとって、真っ暗なトンネルの中から遥か向こうに見える小さな光らしき点のような言葉たち。
もちろん続編も読む。こんな言葉にまた出会いたくて。
生きていくことも案外悪いもんじゃないなって信じる強さが欲しくて。