ベン・アフレック監督・主演、”ザ・タウン”。
チャールズタウン、その街は全米一、銀行強盗及び輸送車襲撃による強奪が多い街。強盗を職業にしている者も少なくなく、中には親から家業として引き継ぐ者もいる。彼ら彼女らにとって、その街(タウン)から出ることは容易ではない・・・。
先日のアカデミー賞でベン・アフレック監督の”アルゴ”が作品賞を受賞。
前作であるこの”ザ・タウン”でもその才気はほとばしっている。硬質で緊張感バキバキの演出。街の雰囲気、キャラクターの関係性、襲撃シーン、銃撃戦、全てに醸し出されるリアリティー。しかも主演まで務めている。
この街に生まれてしまったがゆえってところは”シティ・オブ・ゴッド”と同じ。
しかし”ザ・タウン”は主人公たちが大人なので、『この街でいかに生き延びていくか』ではなく、『この街からいかにして抜け出すか』っていう儚い願望を心の奥底に秘めているところがミソ。そこから生じる軋轢がさらなるドラマに繋がる。
犯罪者、それも第一級の犯罪者だって一人の人間で、ちゃんと人間的な苦悩をするんだってところに複雑ながらも共感してしまった。
『いつか会える ここか あの世か』という犯罪者であるがゆえに背負ってしまっている希望と諦めがないまぜになった業のような想い。最後に希望へと傾かせたのは、ベン・アフレックのロマンチシズムなのかハリウッドシステムなのか。
ロマンチシズムだと信じたい。