タナダユキ監督・脚本、”百万円と苦虫女”。
佐藤鈴子、21歳、いろいろあって実家を出る。定住することを拒み、行く先々で百万円貯まったら他所へ行くことにする・・・。
のっけからあまりにも似つかわしくない組み合わせに驚く。蒼井優と拘置所。月とスッポン以上に似つかわしくない。この時点で物語にグイと引き込まれた。
蒼井優、やはりうまい。その昔
”おせん”で見せた笑顔とは全く違う笑顔。苦虫を噛み潰したような笑顔。この笑顔が彼女の他人との関わり方を如実に表している。
でもってこれがちゃんと伏線になっていてのネギのシーンだ。あのシーンが私の一番のフェイバリット。40前なのにキュンとした。
別れるのが嫌だから出会いすら拒否していたけど、別れを受け入れないことには新しい出会いはないんだよな。・・・なんてことはやっぱり同じく若かりし頃に気付いたなぁ、なんてちょっとセンチメンタルになってみたり。
若さゆえの逡巡とかイライラとか不器用さが、痛々しい感じがしなくて、むしろ成長の過程で誰しもが通るべき関門のようで、寂しさがないって言ったら嘘になるけど、とても前向きな物語だった。佳作。
いやー、森山未來がうまいのは分かるんだけど、なんとまあピエール瀧のうまいこと。ビックリしたー。
何あの朴訥っぷり。富士山のかぶり物でもなく、シャングリラでもなく、ファブリーズでもなく、屁で空中ウクライナでもなく、女の涙はつまんで捨てろ!でもなく、メロン牧場花嫁は死神でもなく、もちろんガリガリ君でもなく、田舎の桃農家の長らくお嫁さん募集している中年の一人息子っぷり。
卓球はどんな気持ちで観たんだろ。観ないか。
そして白石さんのマイクさばきが私のツボ。
ごきげんよう。