ダーレン・アロノフスキー監督、ナタリー・ポートマン主演、”ブラック・スワン”。
新しい演出での”白鳥の湖”、もう歳がいってしまったベスが主役の座を降ろされ、新しい主役の座をニナが射止める・・・。
ナタリー・ポートマン、素晴らしい。いや、もう、凄まじい。
役柄のニナと同様、キレイだしうまいけど毒っ気がないイメージのナタポー。ところがどっこい、ニナになりきって狂気の淵へと突き進んでいく。ニナがブラック・スワンを演じるのと同様に。
これ、脚本がうまくできてるし、演出が相当な確信犯。
バレエを題材にしているからといって妙に芸術的になったりせず、変に大上段に構えたりもせず、極めて分かりやすい大衆性を保ちながら、ナタポーの演技にビカビカッとスポットライトをあてていて、彼女の演技が映画そのものの推進力になるように仕掛けられている。つまりはナタポーの演技がこの映画の鍵で、監督が彼女に求めたものは尋常なレベルではないはずで、劇中のニナと同様にナタポーも追い込まれたに違いない。でも、それだけの成果は十二分に画面から放たれている。
前作の”レスラー”では見事にミッキー・ロークを華やかな表舞台に引っぱり戻したダーレン・アロノフスキー監督。今作でナタポーはアカデミー主演女優賞を獲得。今、役者ありきの映画を撮らせたら右に出るものはいないと思う。
ベス役がウィノナ・ライダーってのもリアリティー溢れすぎで見事だし。ハリウッドの名優たち(ちょっと落ち目だったり伸び悩んでたりの)が一番仕事をしたい監督なんじゃないだろうか。
にしても、バレエダンサーっておでこ丸出しなのね。みんな私の好きな髪型してるのね。それだけで★の付け方が甘くなるのね。
”ブラック・スワン” ★★★★★
(ナタポーの演技とみんなのおでこ込み)