吉田大八監督、西原理恵子原作、”パーマネント野ばら”。
高知の田舎町唯一のパーマ屋、【パーマネント野ばら】。ここのパーマはどこよりもキッチリかかると評判だ。今日も歳のいったおばちゃんたちでワイワイと賑わっている。そんな野ばらに一人娘のなおこが小さい娘を連れて出戻って来た・・・。
客席は私以外はみんな女性。しかも年輩の方々が多かった。そんな中、劇中の野ばらでパンチパーマをあてているおばちゃんたちの話は下ネタばかり。やれチンコがどうしたこうした言っている。それを観て笑う現実のおばさま方に囲まれ、なんだかいてはいけない場所、女子の聖域に紛れ込んだような気がした。
てなくらい、ザ・女子な物語。観ている間中、【命短し恋せよ乙女】って言葉が頭にあった。しかも乙女ってのは期間限定のものではなく、女性はずーっと乙女なんだと思いながら。
だから【命短し恋せよ乙女】の後には【いくつになっても】ってくっつけたいし、それともう一つ。前から思っていたけど、この映画を観たことで「やっぱり。」と思ったことをくっつけたい。それは【涙ばかりの恋だとしても】だ。
女性は恋をしない人生よりも絶対にした人生の方が幸せだと思う。例えそれがダメな男とのヒドい恋でも、だ。
命短し恋せよ乙女、いくつになっても、そしてそれが涙ばかりの恋だとしても
なんて思えたのは僕が男で無責任な立場にあるからかもしれない。
・・・と、逃げ道を作っておこう。
吉田監督はCMの演出をしていたからか、画にとてもメリハリがあって目が飽きない。人間の心の奥底の深い業みたいなものを鷲づかみにするタイプの演出ではなく、物語に寄り添って軽やかにしなやかに人の心をサラッと映し出していくタイプの演出だなぁと思った。
吉田監督のデビュー作、”腑抜けども、悲しみの愛を見せろ”を観るのがさらに楽しみになった。
”パーマネント野ばら” ★★★★☆
ちょっとだけネタバレ。
私のフェイバリットシーンは、子供の頃の自転車の件からトンネルでイチャイチャ、そして振り向いたら・・・のシーン。喪失の予感と一拍置いての安堵感が見事に画で表現されていて鳥肌が立った。
あと、私の頭にずっとあった【命短し恋せよ乙女】って言葉は、実はダブルミーニングなのだ。観た方なら分かる・・・と思う。
ごきげんよう。