ビリー・ワイルダー監督、”お熱い夜をあなたに”。原題は”AVANTI!”。
ジャック・レモン演じる主人公はイタリアへ飛ぶ。滞在中に不慮の事故で亡くなってしまった父親の遺体を引き取るために。と、どうも事故当時、父親は一人だったわけではなかったようで・・・。
なんと言うか、イターリアである。全編イターリアである。ホテル内はセットなのでどこで撮影されたのか知らんが、舞台はイターリアである。輝く太陽、鮮やかな青空、光る海、人々ののんびり具合、1時から4時までのランチ、パスタ、ゆるやかに流れる時間。イターリアである。
どうにもこれは【のーんびりとした間】というのが物語的に重要なファクターであり、それを観ているこちらにも同じように体験させるという演出意図があると思う。じゃなきゃあーんなにのーんびりちまちまと物語が進むわけがない。ラブコメで2時間半という長尺はまさしくイターリアンターイムなのであーる。
主人公のロマンスのお相手のジュリエット・ミルズ。この方がまたぜーんぜん美人じゃなくてスタイルもぽっちゃりで、この手の映画にしてはビジュアル的に「?」と思ってしまうのだが、なーんというかチャーミングなのであーる。それも時間が過ぎていくごとに、徐々に徐々にチャーミング度が増していくのであーる。なので主人公が大したきっかけもなく唐突にコロッといくのも、男の生理として理解できるのであーる。
ダイエットなんてしなくていい。この女性はこのままでいい。いや、このままがいい。このぽっちゃり具合のままがいい。そこに主人公はコロッといったのだからー!
と思い込んでいたら、やっぱり最後で『1ポンドも痩せるな!』という台詞が。だよねーだよねー。
てことで、この映画は【痩せなきゃ症候群】に脅迫的にトリツカレている世の女性に福音をもたらすのであーる。みんなー!キープオンぽっちゃり!
ごきげんよう。