クエンティン・タランティーノ監督、脚本、”イングロリアス・バスターズ”。
時は1940年代、第2次世界大戦の最中、ドイツ占領下のフランスでナチ狩りをするアメリカの秘密部隊がいた。人呼んで【イングロリアス・バスターズ(名誉なき野郎ども)】。彼らの作戦は成功するのか・・・。
と、あらすじらしきものを書いたら、派手なドンパチがガップンガップンある戦争アクションだと思ってしまうだろう。それは仕方がないと思う。
しかしながら脚本を書いたのも監督をしたのもタランティーノなのである。どうでもいいような会話がリズムを持ち、アクセントを持ち、強烈に印象に残るタランティーノ作品なのである。だからドンパチを期待してはいけない。そんなシーンがないわけじゃないが、それを楽しむ映画ではない。
なら何を楽しむのか?そりゃあもう会話そのものに決まっている。ドイツ語、フランス語、英語が入り乱れながら、緊張と緩和の波状攻撃が襲ってくる。そんな2時間半、飽きずに会話に耳を傾け集中していた。とても練られた脚本だと気付く。各章ごとにじわじわと緊張感が増していき、カタルシスがある。
私は大学生だった頃、”レザボア・ドッグス”、”パルプ・フィクション”でタランティーノの洗礼を受けた。あれでさらに映画のトリコ仕掛けになった。タランティーノは私にとって別格のアイドルだ。だから今年観た映画で初めてパンフレットを買った。
内幕を読んで、この作品の構造のうまさに気付かされた。私にとってタランティーノはやっぱり別格だと再認識した。
”イングロリアス・バスターズ” ★★★★☆